6-1 研究機構の教育研究等の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置
6-1-1 研究に関する目標を達成するための措置
(1) 研究水準及び研究の成果等に関する目標を達成するための措置
(機構共通)
大学共同利用機関法人自然科学研究機構(以下「本機構」という。)は,天文学,物質科学,エネルギー科学,生命 科学等,自然科学分野(以下「各分野」という。)における研究所等の役割と機能を充実させる。
また,統合バイオサイエンスセンターにおける研究の推進など,研究所間の連携による新たな分野形成の可能性を 検討する。
国際専門誌上や国内外の学会,討論会等で研究成果を積極的に公表する。
研究所等に研究所長等の諮問機関として所外研究者を含む運営会議を置き,共同研究計画に関する事項,研究者人 事等に関する事項及びその他機関の運営に関する重要事項で研究所長等が必要とするものについて諮問する。
各専門分野において国内の外部委員を含む委員会で自己点検を行い,国際的に第一線で活躍する著名な研究者によ る評価に基づいて研究水準・成果の検証を行う。
自らの研究水準を高めるとともに,高度な研究者を養成し大学等研究機関に輩出する。
本機構では,構成5大学共同利用機関(国立天文台,核融合科学研究所,基礎生物学研究所,生理学研究所,分子 科学研究所)において,当該研究分野コミュニティを代表とする外部委員を含む運営会議をそれぞれ設置し,各機関 長(研究所長)は運営会議に対して各機関の運営のための諮問を行っている。平成17年度,分子科学研究所では2回 の運営会議が開催され,共同利用・共同研究に関する事項,研究所の教育研究職員の人事,研究組織・研究支援組織 の見直し,その他重要事項について審議した。また,所長の諮問により研究顧問会議及び運営顧問会議を開催し,研 究面,運営面について議論した。
さらに,各機関では,国内外からの外部委員を含む評価組織を設置し,各専門分野の研究の成果と進捗状況,研究 施設の運営と将来計画,研究者個人の業績などについて自己点検及び外部評価を実施している。平成17年度,分子科 学研究所では2名の外国人運営顧問による研究者評価及び数名の国内評価委員による4つの研究系・研究施設の研究 者評価,組織評価を実施した。
(分子科学研究所)
個々の研究の詳細については本リポートの各研究グループの研究活動の項(研究系および研究施設の現状)を参照 のこと。
分子科学分野において,光・X線・電子線・磁場等の外場,極低温等を利用する最先端の物理化学的方法,分子物 質の設計・合成手法,超高速計算機による理論シミュレーション等を駆使し,分子及び分子集合体の構造・機能等に 関する実験研究並びに理論研究を行う。
① 化学反応や分子物性を支配する普遍的な因子を理論的に解明し,反応予測や新物性の設計を可能とする分子理論 を構築する。
理論分子科学研究系を中心に,昨年度に引き続き,ナノ構造と元素の特性を利用した機能性分子の設計と計算,分 子シミュレーションにおける新しい拡張アンサンブル法の開発,朱−中村理論による分子機能の開発と制御,時間依
存密度汎関数理論に基づく多電子ダイナミクスの実時間解析,3D -R IS M 理論による水中の蛋白質の自由エネルギーと 部分モル容積の計算,光誘起イオン性中性相転移におけるフォノン・コヒーレンスの解明などの研究を進めた。
② 精緻で高度な分子分光法を発展させ,分子や分子集合体の状態評価手法としての確立を図る。併せて,実用的な 物性評価装置,計測装置を提案する。
分子構造研究系,電子構造研究系を中心に,近接場顕微鏡による電場分布計測法,分子の内部量子状態を用いた量 子ゲートと量子アルゴリズム,非断熱量子状態分布移動法,蛋白質の細胞内動態を発光検出するイメージング法の開 発などを行い,分子分光学の基礎と応用の発展に貢献した。
③ 分光学や光化学反応の光源として,新しいレーザーの開発及び放射光による極端紫外光源の開発を行い,さらに 化学反応動力学や新物質創成等の利用研究を推進する。
分子制御レーザー開発研究センター,分子構造研究系,電子構造研究系,極端紫外光科学研究系,分子スケールナ ノサイエンスセンターの連携により,エクストリーム・フォトニクス連携事業を立ち上げ,レーザー光源,レーザー 顕微分光法,レーザーによる反応制御法の開発に着手した。また,極端紫外光研究施設において,リング型自由電子 レーザーの短波長化・パワーアップ,コヒーレントテラヘルツ光発生,高次高調波発生,フェムト秒パルス発生など 次世代を目指した放射光源開発を行った。
④ 新しい機能を有する分子,ナノスケール分子素子,分子性固体等を開発し,物質開発の指針を確立するための物 性研究を行う。
分子集団研究系,分子スケールナノサイエンスセンター,錯体化学実験施設を中心に,磁性有機超伝導体・電荷秩 序系分子導体の電子状態の解明,ナノ構造体とその電気物性の解明,有機トランジスタ素材の開発,金属ナノ触媒の 開発,非平面共役化合物の構築法の確立,柔軟ナノ分子の動的挙動の解明,酸化反応に活性な新規金属錯体開発,合 成ガスの分子変換サイクルの構築に関する研究を進めた。
⑤ 実験では解明不可能な化学現象・物理現象の根元的な理解を深めるため,理論及びコンピュータシミュレーショ ンによる研究を進める。
計算分子科学研究系,計算科学研究センターを中心に,分子動力学法等高性能,高並列プログラムの開発を進め,ミ セル等の巨大系や界面など複雑な分子集合体に対する分子科学研究を進めた。
(2) 研究実施体制等の整備に関する目標を達成するための措置
(機構共通)
① 本機構に研究連携委員会及び研究連携室を設置して,研究所等の間の研究連携並びに研究交流の促進を図る。 研究連携室の活動の中では,分子科学研究所と核融合科学研究所がまとめ役となって「自然科学における階層と全 体」というプロジェクトを走らせている。半年毎にシンポジウムを開催し,自然科学の本質に関わる新分野形成への 努力を行っている。また,「イメージングサイエンス」のテーマに対しても積極的に協力し,分野を超えた議論を行っ ている。分子科学研究所が主導しているのは,「巨大計算新手法の開発と分子・物質シミュレーション中核拠点の形成」 プロジェクトで,自然科学の様々な分野に用いられている種々のシミュレーション手法の相互の特徴を取り入れた新 しい複合的手法の開発拠点形成が行われている。
② 本機構研究連携室を中心に知的財産の創出・取得・管理・活用を積極的に行うため,システムを整備し,効果的 な活用を促進する。
分子科学研究所では知的財産委員会を毎月開催し,特許の申請の推進を図ると共に,年々増加する特許の権利所属 審査,商標申請の検討等を行っている。また,利益相反委員会を組織し,利益相反マネジメントの遂行体制を整えて いる。
③ 各研究所等は,定期的に自己点検及び外部評価を行い,その結果に基づき,研究の質の向上に努めるとともに適 正な研究実施体制等の整備を図る。
分子科学研究所では,研究所の運営方法・全体的活動に対する評価と,各研究グループの研究活動に対する評価を 約3年に一度行っている。前者の評価委員は外国人運営顧問(法人化前の外国人評議員)と運営顧問,後者の評価委 員は研究系・施設毎に最低2名の所外研究者(外国人を含む場合あり)としている。平成17年度は,電子構造研究系, 極端紫外光科学研究系,極端紫外光研究施設,岡崎統合バイオサイエンスセンター(分子科学研究所関連研究部門)の 外部評価を行った。外国人を含む運営顧問の評価も実施した。研究所,研究系,施設に対する全体的な評価結果につ いては本分子研リポートに掲載されているが,それ以外に非公開の評価結果が所長に報告されている。非公開のもの には研究者個人の評価が含まれている。また,全研究グループリーダーの研究ヒアリングを行い,研究顧問による評 価を実施した。さらに,60歳を迎える教授に対し国内外の研究者若干名による評価が行われた。これらについての評 価結果はすべて非公開のものとして各委員から所長に報告があった。
④ 適切なポストドクトラル・フェローシップの構築を検討する。また,研究支援を行うスタッフの充実と資質の向 上を図る。
分子科学研究所では,平成17年度は運営費交付金からポスドク(呼称IMSフェローとしてコミュニティで定着して いる。任期2年であるが審議を経て3年目の延長は可能)を26名雇用した。なお,運営費交付金以外の財源によるそ の他のポスドクは44名である。教授研究グループ数,助教授研究グループ数はそれぞれ約20であるので,平均すると 各研究グループに1∼2名のポスドクがいることになる。なお,従来から優秀なIMSフェローを獲得するために,以 下のような制度を設けている。①原則として採用は4月。②毎年6月までに研究所内でIMSフェローの配分希望調査 を行い,所長はその中から10名程度,配分する研究グループを決定。③公募するかどうかはグループリーダーの判断 に任される。公募する場合の期間は9月から12月の3ヶ月。④候補が決まり次第,所長に推薦し,所長の判断を仰ぐ。 その後,主幹施設長会議,教授会議を経て最終的に2月までに採用を決定。⑤所長はIMSフェローに助手と同額の研 究校費を配分。なお,推薦した候補の採用が認められなかったり,優れた候補が見つからなかったりしたグループリー ダーは所長にポストを返上することになっている(採用決定まで時間的余裕があれば,次の配分先候補研究グループ に配分する)。
⑤ 他研究機関,大学,企業との研究者の交流を促進するための研究部門の充実を図る。
分子科学研究所では,客員研究部門を設置することで,通常の共同利用を越えた共同研究を推進する仕組みを持っ ている。客員研究職員は教授会議に参加し,研究所の運営にも関わることができる体制をとっている。分子研にほと んど常駐して研究を行う客員研究職員については所内研究職員に準拠する研究環境(予算,研究スペース,研究支援 者などの配分)を所長が与えている。
⑥ 本機構内の共通研究施設,センターとの兼担制度を設け,境界領域の分野の発展を促す。
岡崎共通研究施設(岡崎統合バイオサイエンスセンター,計算科学研究センターなど)との一体的運営による研究 推進を目的として,関連する基礎生物学研究所,生理学研究所及び分子科学研究所の研究教育職員・技術職員を岡崎 共通研究施設に勤務命令させる制度を設けて,運用している。また,岡崎統合バイオサイエンスセンター及び計算科 学研究センターの分子科学研究所関連研究教育職員は全員同時に分子科学研究所の職員になる方式を採用している。
(分子科学研究所)
① 大学との連携を基に一定期間,分子科学研究所の一員として研究に専念できる制度の構築に努める。
全国唯一の装置である 920MHz NMRを用いた研究を強力に進展させるために,分子スケールナノサイエンスセン ター先導分子科学研究部門に専任的客員教授1名と専任助手1名を採用し,その研究に必要な周辺設備の充実を行っ た。
② 研究系と施設が適切に連携した柔軟性ある組織に再編・整備するとともに,研究成果を上げるため,研究設備の 利用促進と整備を行う。
組織再編を具体化するため,研究系と施設の在り方に関する検討を行った。
6-1-2 共同利用等に関する目標を達成するための措置
(1) 共同利用等の内容・水準に関する目標を達成するための措置
(機構共通)
① 各専門分野における共同利用・共同研究の内容や水準を向上させるための基本的方策を策定し,具体的運営に関 して,運営会議に諮り審議する。
本機構では,共同利用・共同研究・研究会の具体的運営は,各機関の運営会議の審議を受けて,基本的方策を策定 している。分子科学研究所では,課題研究(数名の研究者により特定の課題について行う研究。最大3年間有効),協 力研究(所内の教授または助教授と協力して行う研究),研究会(所内外の研究者によって企画される20∼40人規模の 研究討論会),施設利用の枠で半年ごとに公募している。平成17年度は研究者当たりの協力研究の実施時間などに関す る総枠規制の緩和や随時受付制度を導入した。
② 各専門分野において成果を上げるため,本機構の所有する特徴ある大型装置や大型施設を活用した共同利用・共 同研究を推進する。また,共同研究の相手方機関の設備・研究環境も活用できるよう,必要に応じて本機構研究者を 派遣する等,双方向性のある研究体制を整備する。
本機構では,共同利用・共同研究・研究会は,公募を原則としている。分子科学研究所では,主幹施設長会議,教 授 会 議 で 公 募 要 領 の 見 直 し を 行 っ て い る 。 計 算 科 学 研 究 セ ン タ ー の ス ー パ ー コ ン ピ ュ ー タ や 極 端 紫 外 光 研 究 施 設
(UV S OR 施設)の放射光実験装置の利用促進のため,施設利用での対応ばかりでなく,課題研究と協力研究において も利用を可能としている。共同利用・共同研究環境の整備強化を目指し,全国の国立大学法人と連携して化学系汎用 機器共同利用ネットワークの各地域拠点・全国拠点の組織化に向けた活動を開始した。
③ 共同利用公募を行い,利用者の代表を含む委員会で,審査によりテーマを採択する。共同利用・共同研究の運用 全般について外部委員を含む委員会で検証し,検証結果を運用に反映させる。
分子科学研究所では,所外委員を含む共同研究専門委員会を運営会議の下部組織として位置づけて設置し,共同利 用・共同研究・研究会についての申請課題の採否案作成,実施方法の見直しなどについて検討し,運営会議で最終決 定している。施設利用については各施設に置かれた運営委員会で申請課題の採否を決定している。施設利用の検証に ついては各施設の外部評価によって行っている。その結果は本分子研リポートで公開している。
④ 我が国の代表的な学術研究機関として,各専門分野の国際的窓口としての機能を向上させ,国際的共同研究,相 互の共同利用及び国際的協定に基づいた様々な協力活動を積極的に行う。
分子科学研究所では,日本学術振興会の諸制度を利用した国際共同研究,研究所の外国人客員研究部門の運用に加 え,「物質分子科学」「光分子科学」「化学反応ダイナミクス」の重点3分野に関して独自の国際共同研究制度(平成17年 度は10件を選定)を開始し,中国及び韓国の若手研究者の長期(6ヶ月)滞在やフランス,ドイツ,イタリア等から の研究者の短期訪問による共同研究を実施した。東アジアにおける多国間共同研究を推進するため,中国科学院化学 研究所,韓国高等科学技術院自然科学部,台湾中央研究院原子與分子科學研究所とともに日本学術振興会のアジア研 究教育拠点事業(アジア・コア・プログラム)に応募し,平成18年度からの実施が採択された。
⑤ 共同研究・共同利用の実施,募集,成果等について情報公開を積極的に行い,新たな利用者や研究者の発掘に努 めるとともに,利用者の便宜に供する。
分子科学研究所では,共同利用・共同研究・研究会の募集については研究所のホームページに掲載するとともに,学 会誌に掲載している。申請書式も電子化されている。研究成果に関しては A nnual R eview,本分子研リポート,分子研 レターズ,各施設の A ctivity R eport 等で公表している。
⑥ 共同利用・共同研究環境の整備強化や情報ネットワーク等インフラストラクチャーの整備を行う。
分子科学研究所では,共同利用・共同研究・研究会等で滞在する研究者に対して所内研究者と同水準の情報ネット ワークの利用を可能とするための規則を設けて運用している。
⑦ コミュニティの研究者の参画を得て計画の具体的立案及び研究課題の抽出を行う。
分子科学研究所では,コミュニティの研究者を半数程度含む,運営会議の下に置かれた共同研究専門委員会及び各 施設の運営委員会で半年毎に検討を進めている。また,毎月開催する教授会議には客員研究職員もメンバーとして全 員,参加し,共同利用などの議論に参加している。
⑧ 国内外との共同利用・共同研究を通じて学際的な研究の推進にも恒常的に取り組む。
分子科学研究所においては,分野間連携における学際的研究拠点の形成に向けて,「巨大計算新手法の開発と分子・ 物質シミュレーション中核拠点の形成」を推進し,その中で国際シンポジウムを開催し,国際連携のあり方について も検討を進めた。分子科学研究所独自のものとして「物質分子科学」「光分子科学」「化学反応ダイナミクス」の重点 3分野に関して国際共同研究制度を継続的に実施している。
⑨ 共同利用・共同研究を推進するため,高度な実験・観測装置を開発整備する。
分子科学研究所では,各施設の運営委員会で半年毎に議論し,大型装置,中型装置の高度化計画を策定しながら,予 算獲得に向けて活動している。
(分子科学研究所)
① 放射光及びレーザーを光源とする先端的光科学研究設備について,高度な共同利用・共同研究を推進する。また, 国内外の放射光科学の研究動向を見極めて大型研究施設の整備を進める。
レーザー分子科学分野では外部評価結果を参考に,エクストリーム・フォトニクス連携事業などを中心とした精選 された研究主題について所内外での高度な連携研究に着手した。また,極端紫外光研究施設については,科学技術・学 術審議会次世代放射光源計画評価作業部会,日本放射光学会先端的リング型光源計画特別委員会などで国内外の放射 光科学の研究動向を見極めながら,世界トップの高輝度小型放射光リングとして,施設整備を進めている。
② 巨大計算に向かっている計算科学,生物分子科学,ナノ分子科学の国内外における動向を見極めて超大型計算機 の整備を進め,高度な共同利用・共同研究を推進する。また,超高速コンピュータ網形成プロジェクト(NAREGI)【H 15∼19までの期限付きプロジェクト】を推進する。
「超高速コンピュータ網形成プロジェクト」は科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 情報科学技術委員会の 高い評価を得て,「ナノサイエンス実証研究」も2006年に開始される「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開 発利用―ナノ分野グランドチャレンジ研究」へとさらに展開されることとなった。一方で「巨大計算手法の開発に よる分子・物質シミュレーション中核拠点の形成」事業を開始したほか,計算科学研究センターの超高速分子シミュ レータの導入業務を行い,共同利用における巨大計算課題の新設等も行った。
③ 高磁場核磁気共鳴装置等の先端的分光分析・物性評価装置について,高度な共同利用・共同研究を推進する。 高磁場核磁気共鳴装置(NMR )の全国共同利用サービスのために,分子スケールナノサイエンスセンターの技術職 員1名を採用し,更にメーカーからの技術者1名を訪問研究員として受け入れた。高度の協力研究推進のために,NMR を専門とする専任的客員教授1名と専任助手1名を配置している。さらに,文部科学省が実施しているナノテクノロ ジー総合支援プロジェクトの中で分子科学研究所が京都大学,九州大学と共に担当している「分子・物質総合設計・解 析支援プログラム」において,ナノ物質創製・物性評価・構造決定・ナノスケール分子観察・分子物質操作加工など を行うための10種の装置群を公開し,さらに理論計算支援を行っている。利用課題件数は年々増加し,平成17年度は 130件の課題(民間利用も受け入れている)を実施した。これらの実績に基づき,利用者のニーズに応えるべく,第2
期の計画を立案し,更に有効な支援プログラムの展開を図ることを検討している。
(2) 共同利用等の実施体制等に関する目標を達成するための措置
(機構共通)
本機構に属する研究所等は,それぞれの特徴を生かして共同利用等の実施体制等に関して以下のような措置をする。
① 国内外の研究者との幅広い共同利用・共同研究を実施するための必要な施設,設備の研究環境を整備するととも に資源配分の公平性と透明性を図り,積極的な推進及び円滑な運営を目指して,組織,体制を構築する。
各機関では,機器開発を推進する組織や設備の整備を行った。分子科学研究所では,装置開発室と各研究者・施設
の連携によって,機器の開発をおこなっている。さらに,全国の国立大学法人と連携して化学系汎用機器共同利用ネッ トワークの各地域拠点・全国拠点の組織化を検討している中で,分子科学研究所は全国拠点として化学機器の設備整 備を図るように検討を進めている。
② 資金・設備等を活用し,萌芽的研究及びその共同研究を進める。
本機構では,外部委員を含んだ共同研究委員会等(分子科学研究所では共同研究専門委員会)を設置して,共同利 用・共同研究・研究会の計画の採択,実施体制の検討を行っており,その際,長期に確立した共同研究よりも萌芽的 研究を優先させる方針になっている。また,極端紫外光研究施設では初心者の研究グループへの旅費配分人数を増や すなどの工夫を行っている。
③ 共同利用・共同研究の成果は,出版物等多様なメディアを利用し公表する。
各機関では,共同利用・共同研究・研究会の成果を要覧,年報(A nnual R eview,A ctivity R eport)等(分子科学研究 所では,他に分子研リポート,分子研レターズ)の出版物で公表するとともに,学術雑誌への掲載又はホームページ により研究成果を公表している。各報道機関にも成果発表している。
④ 共同利用・共同研究の運営・成果に関する外部評価を行い,その結果を将来構想等に反映させる。
各機関の主たる研究内容等について経営協議会及び教育研究評議会に報告するとともに,外部協議員,評議会員の 意見を聴取している。分子科学研究所では,外部評価をもとに将来計画委員会を開催し,研究所全体で将来計画を策 定し,本分子研リポートにその結果を掲載している。
⑤ 共同利用・共同研究における技術者の技術力向上のため,研修等を実施する。
(実施済。詳細省略)
⑥ 特別共同利用研究員等若手研究者に対する研究支援の強化を図る。
(実施済。詳細省略)
⑦ 共同利用者用の宿泊施設等の研究環境を整備する。
(実施済。詳細省略)
⑧ 実験・観測データの公開を一層進めるとともに,広く利用できるデータベースを構築する。
(分子科学研究所には該当しない)
6-1-3 教育に関する目標を達成するための措置
(1) 大学院への教育協力に関する目標を達成するための措置
(機構共通)
① 大学共同利用機関としての特長を生かした特色ある教育を実施する。大学院教育を機構の重要項目として位置づ け,総合的に大学院教育を検討する組織を機構に設ける。また,具体的事項(受託,単位認定,研究教育等)につい て検討する組織として,各研究所に委員会を設置する。
各機関では,専攻委員会を設置している。分子科学研究所では,構造分子科学専攻委員会と機能分子科学専攻委員 会が置かれており,原則として8月を除く毎月第3金曜日の午前中に開催している。
平成18年度から5年一貫制を導入する国立天文台,核融合科学研究所及び分子科学研究所では,入試を実施した。
② 研究所等は,総合研究大学院大学と緊密に連携・協力し,特色ある大学院博士課程教育を以下の専攻において実 施する。
ア 核融合科学研究所に設置された核融合科学専攻 イ 基礎生物学研究所に設置された分子生物機構論専攻 ウ 国立天文台に設置された天文科学専攻
エ 生理学研究所に設置された生理科学専攻
オ 分子科学研究所に設置された構造分子科学専攻及び機能分子科学専攻
6専攻の教員346名が学生164名に対して52講義(専攻をまたぐ共通科目を含む),115演習を実施し,単位認定した。 また,44人(内,論文博士5人)の博士の学位を授与した。分子科学研究所では,それぞれ次のような数値になって いる。教員70名,学生41名,8講義,33演習,11人(論文博士なし)。また,各専攻におけるセミナー,英語教育等 の総合的教育に加えて,分子科学研究所では,「総研大岡崎レクチャーズ:アジア冬の学校」,「夏の体験入学」,「第15回 分子科学研究所オープンハウス」を実施した。
③ 東京大学大学院理学系研究科,名古屋大学大学院理学研究科,同工学研究科との協力による大学院教育を実施する。 分子科学研究所では,連携大学院制度に基づき,京都大学大学院理学研究科と教員の交流を実施(平成17年度は学 生交流はなし)。
④ 研究所等は,国立大学法人の要請により連携大学院制度や特別共同利用研究員制度により大学院教育に協力する。 本機構では,110名の特別共同利用研究員(分子科学研究所は14名)を受入れ,大学院教育を行った。
⑤ リサーチアシスタント制度の活用などにより,大学院生に対する支援を行う。
本機構では,201名のリサーチアシスタント(分子科学研究所は45名)を採用し,研究者育成を行った。
⑥ 学生に多様な教育の機会を与えるとともに,カウンセリングなど心と体のケアにも配慮する。
分子科学研究所では,研究科共通専門基礎科目の開講や英語教育を行っている。また,外部委託によるカウンセラー を配置し,年10回のカウンセリングを実施した。
(2) 人材養成に関する目標を達成するための措置
(機構共通)
本機構は以下のように,各種ポストドクトラル・フェローシップを整備し,若手研究者の育成と流動化の促進に努 める。
① 大学院修了後やポストドクトラル・フェローシップ任期終了後の活動状況の把握に努め,今後の方策の指針とする。 分子科学研究所では,平成17年5月に実施した創設30周年記念事業に併せて調査を行い,また,継続的に12月にも 追跡調査した。
② 本機構で教育指導を受けた大学院生等の博士号取得後の進路について,若手研究者の流動化の一環として国内外 の研究機関への異動を推奨する。
各機関では,各機関に対する求人依頼・公募案内を定期的にまとめて掲示することで,大学院生等への就職情報を 提供している。分子科学研究所では,指導教員が大学院生をそのまま自分の研究グループのIMSフェロー(ポスドク) や助手に採用することを原則として禁じている。
③ 大学院生・博士号取得者の処遇改善方策について検討する。
分子科学研究所では,大学院生全員(日本学術振興会の研究員を除く)をリサーチアシスタントとして雇用してい る。博士号取得者に対しては,独自のポスドク制度(IMSフェロー)に加えて,文部科学省の支援プロジェクトや各 研究者が獲得した科学研究費補助金,JSTのプロジェクト経費,受託研究費等を使って,博士研究員(ポスドク)と して雇用している。その場合,雇用条件が同じ場合はIMSフェローの認定を主幹施設長会議で審議して与えることに している。
6-1-4 その他の目標を達成するための措置
(1) 社会との連携,国際交流等に関する目標を達成するための措置
(機構共通)
本機構は以下のように,社会との連携や国際協力等に関して具体的な計画を推進する。
① 自然科学研究における基礎的研究の重要性を広く社会・国民に訴え,得られた研究成果を国民と共有できるよう に広報・情報発信に努める。
本機構では,機動的,効果的に審議・検討行うため,広報に関するタスクフォースを組織するとともに,基本計画 並びに実施計画を作成し,機構パンフレットの作成,本機構ホームページのリニューアルを行った。分子科学研究所 でも広報・情報発信の強化に努めており,新聞報道は12件あった。
② 高度な技術力を持つ企業と様々な連携を図り,企業や企業内研究者との共同研究を進めるための方策について検 討する。
分子科学研究所では,企業との連携を図るための方策を検討しているところである。なお,平成17年度は民間と17 件の共同研究を実施した。
③ 研究成果やノウハウの活用のため,各種審議会,地方公共団体の委員会等への積極的な参加を推奨する。一般講 演会,ホームページ,資料等を通じて広く一般社会への情報発信に努める。産業界に向けた研究成果や技術成果の発 信にも努める。
本機構では,大学共同利用機関法人自然科学研究機構役員等兼職規程及び職員兼職規程に基づき,各種審議会や学 会・地方公共団体の委員会等への参加を認めている。また,各機関では,一般講演会を実施し,そのポスター及び実 施状況をホームページで公表するなどして,一般社会への情報発信に努めている。分子科学研究所では,一般講演会 として豊田理化学研究所との共催で「分子科学フォーラム」を2ヶ月に1回の割合で開催している(平成17年度は6 回実施)。これは分子科学や周辺の分野の第一線の研究成果をわかりやすく近隣の多くの市民を含めた参加者に紹介し ているものである。
④ 生涯学習・学校教育・専門家教育面で地域からの要請に積極的に対応する。
分子科学研究所では,愛知県立岡崎高校のスーパーサイエンスハイスクール関連事業に協力した。
⑤ 研究成果を海外や国内の大学・研究機関の研究者へ積極的に公開する。国際会議や学会の企画,および様々な情 報発信媒体(ホームページ,パンフレット,解説資料(英語版も整備))を通じて公表する。
(実施済。詳細省略)
⑥ 国際シンポジウム・国内研究会を積極的に実施して,国内研究者の研究活動を支援する。会議の立案,サポート 体制等,具体的な実行案を策定する。
(実施済。詳細省略)
⑦ 科学技術協力事業,二国間,多国間等政府・機構・研究所レベルの国際共同研究事業を一層推進する。
各機関では,各種研究協力協定等を締結し,研究者の相互受入等,国際共同研究事業を推進し,年次報告等で公表 した。分子科学研究所は,東アジア(中国,韓国及び台湾)に重点を置き,連携協力の強化を図った。
⑧ 海外研究者,留学生,博士号取得者の受入れを推進するための制度の基礎整備を図る。
(実施済。詳細省略)
(2) その他
(機構共通)
① 図書,雑誌(電子ジャーナルを含む)の充実を図り,各専門分野の情報センターとしての機能を拡充する。
(実施済。詳細省略)
② 本機構本部,研究所等間のネットワーク等の整備を行い,情報連絡の効率的運用を図る。ネットワークセキュリ ティにも留意する。
分子科学研究所では情報ネットワークのセキュリティ強化のために認証システムを導入した。